過つは彼の性、許すは我の心 弐

 


 トイレ以外はなるべく出ない様にしていたが、にしても肩凝るなあ…。

 椅子の背凭れに身体を預けて宙を見る。

 天條だけに天井まで凝っているのか…なんちゃって。あははつまんねー。

 こんな事考えていても、自分のモヤッと感は拭えない事は分かっていたんだけれど…。

 思い出すのは、先程トイレに言った時の事。

 肩を回しながら獅帥君のお部屋に帰ろうとした所、本館で見掛けた人達が出入りしている姿を見た。

 圭三郎さんや執事は勿論の事、あの天女目春日とその軍団も見かけて思わずウゲッとなった。

 この館が大きい事が幸いして、あの集団に見つからずに獅帥君のお部屋に戻って来られたが、そんな中でもやっぱりーーー獅帥君達の両親は見掛けなかった。

 父である匡獅さんは、パーティーには途中参加の上に、私の両親と話をした後は一切姿を見掛けていないと思っていたら、海外出張に行ってしまっていたらしい。

 事件に関しては、天條関係者のお抱え弁護士と警察、それと獅帥君達のお姉さんに任せると言ってそれきっり。

 私は会った事ないけれど、獅帥君達の上には2人お姉さんがいる。

 その内の長女にあたる女性が、天條で有事が起こった時、匡獅さんがいなければ彼女が応対する様になっているんだとか。