過つは彼の性、許すは我の心 弐



 そう語る洋直ちゃんを見る道行く男性陣がチラホラと居てーーー分かるなと思ってしまった。


「先輩?」


 周囲にキラキラと眩しい粒子が散っていると言うのか。

 大きな眼鏡を掛けていても、元の良さを隠し切れていない今の洋直ちゃん。


「…洋直ちゃんもしかして何か良い事あった?」


 これは文化祭ってだけでなく、相当良い事があったのだろう。


「はい!」


 私の問いに元気良く頷いた洋直ちゃんは「それで先輩にお礼を言いたくって」と、どうやらその機嫌の良さには私が関わっているらしかった。


「この間、私と海祇先輩が話していた事を覚えています?」

「…洋直ちゃんのお母さんと渚君達のお父さんの話だよね」


 頷いた洋直ちゃんは「はいあの後、夏波ちゃんにお母さんの事、海祇のお家の事を簡単に聞いたんです」と話して、バルーンアートをしているお店の入り口に飾られている風船を眺めた。


「お母さんって私が物心ついた時から身体が病弱だったんですけど、弱い人だとは思った事はないんです」


 その目は懐かしいモノを見る様な目で、ひょっとしたら洋直ちゃんのお母さんとの思い出の中に風船に纏るモノがあるのかもしれないと思った。


「海祇も天條のお家並に厄介な家だと言う事を聞きました。その上で私が夏波ちゃん達を見て思ったのは、羨ましさだったんです」

「羨ましさ?」