「…話すと長いんだけどルイ君は、自分の家族と上手くいってなくって、小さな頃一時的に預かっていたの」
「そうか」
やっぱり話していたら気分が落ち着いて来た。
このままと勢いで「ルイ君って本当に不思議な子で、感覚で生きているって言うか、野生的と言うか」ルイ君について話す。
「野生的…」
獅帥君も食い付いたのでうんうん頷きながら、あれでも野生的は語弊があるかと思い直す。
見た目は真逆なんだよね。透明感があってふわふわしている様で、しっかりと芯があるから、そのギャップが周囲を熱狂させていると言っても過言じゃない。
「…」
私の独特な言い回しに眉間を寄せている獅帥君の美しい事…いやいやそんな事を言っている場合じゃないか。
「凄く素敵な子って事。そんな難しく考えなくても大丈夫」
エスコートされている腕と反対の手で軽くポンと獅帥君の腕を叩くと、獅帥君が考えるのをやめて私を見下ろす。
私がニマニマしていれば「何が面白いんだ?」とまた柳眉を顰める。
顰めない顰めないと、獅帥君の眉間を指で押す。ちょっと不満気な顔にまた吹き出した。
「だってね、」
人の言葉でここまで考えるなんて、やっぱり可愛い所あるよ獅帥君。
ふふっと笑いながら「獅帥君真面目に考え過ぎだよ。私の言葉なんて軽ーく考えてくれればいいのに」と肩の力を抜けよと言う意味で言えば、眉間を押す私の手を取る獅帥君。
「獅帥君?」
こんな場所で立ち往生していれば、周囲の更なる視線の集中砲火は自然の成り行きで、静まり帰るのも成り行き。
「ど、どうしたの?」
「…」



