木野島君の眉を下げて「それは…」と口を開き掛け「別に良い事でしょう」と火ノ宮君が木野島君に肘鉄を喰らわす。
「マサっ」
「1人で来たの?」
「あ、いや従姉妹が一緒に来ていて」
火ノ宮君が妙な空気を掻き消す様に考史に話を投げる。ふーん従姉妹、え。
「ああさっきの兄ちゃん」
「兄ちゃん?」
渚君が思い出した様に言う隣で木野島君が反応、いやだから!
「ルイ君は?」
「だから一緒に…あ」
考史の後ろにいた筈の従姉妹のルイ君は何処にもいない。
「何処行った?」
渚君が首を傾げているが、きっと入り口まで一緒に来たんだろう。
そう、その一瞬でルイ君は居なくなる。昔から。
「ああもう!探しに行かなきゃ!」
「ヤッベ」
「どうしたの?」
木野島君は勿論ルイ君の事を知らないから、何で?となるのは仕方ないんだけれどさ…。
「ルイ君1人でフラフラどっか行く癖して迷子になっちゃうの!」
「迷子って…考史君と同い年なんでしょう?なら、」
「家に居た筈なのに1、2日見つからなかったことあるの」
「…」
誘拐されたんじゃないかって家族で半狂乱になったが、本人は他県まで何故か行っていて、しかもその県の特産物を貰って帰って来た、とんでもエピソードがあって懐かしいハハ…じゃない!
「…ほ、ほら携帯」
「携帯無くすかもって言って俺に渡してたわ」
「…」
無言になる場。
「探すか…」
獅帥君の言葉に頷く。
大変申し訳ないがその場の皆んなで即席捜索チームを結成する事になった。



