過つは彼の性、許すは我の心 弐



 木野島君の眉を下げて「それは…」と口を開き掛け「別に良い事でしょう」と火ノ宮君が木野島君に肘鉄を喰らわす。


「マサっ」

「1人で来たの?」

「あ、いや従姉妹が一緒に来ていて」


 火ノ宮君が妙な空気を掻き消す様に考史に話を投げる。ふーん従姉妹、え。


「ああさっきの兄ちゃん」

「兄ちゃん?」


 渚君が思い出した様に言う隣で木野島君が反応、いやだから!


「ルイ君は?」

「だから一緒に…あ」


 考史の後ろにいた筈の従姉妹のルイ君は何処にもいない。


「何処行った?」


 渚君が首を傾げているが、きっと入り口まで一緒に来たんだろう。

 そう、その一瞬でルイ君は居なくなる。昔から。


「ああもう!探しに行かなきゃ!」

「ヤッベ」

「どうしたの?」


 木野島君は勿論ルイ君の事を知らないから、何で?となるのは仕方ないんだけれどさ…。


「ルイ君1人でフラフラどっか行く癖して迷子になっちゃうの!」

「迷子って…考史君と同い年なんでしょう?なら、」

「家に居た筈なのに1、2日見つからなかったことあるの」

「…」


 誘拐されたんじゃないかって家族で半狂乱になったが、本人は他県まで何故か行っていて、しかもその県の特産物を貰って帰って来た、とんでもエピソードがあって懐かしいハハ…じゃない!


「…ほ、ほら携帯」

「携帯無くすかもって言って俺に渡してたわ」

「…」


 無言になる場。


「探すか…」


 獅帥君の言葉に頷く。

 大変申し訳ないがその場の皆んなで即席捜索チームを結成する事になった。