困った様に惣倉君が眉を八の字にしているが、あれここに惣倉君いると危ないんじゃ。
「逃げなきゃ惣倉君」
「先輩動かないで」
起き上がると惣倉君が押し戻そうとしてくるが、いやいやこんな事している場合じゃないんだ。
「喜影君にいじめられちゃうっ」
「喜影…って何で先輩」
息を呑む惣倉君に、
「だって親戚の人に虐められてるんでしょう、身体の痛そうな傷知っているんだから」
今までに触れなかった事を言った。
「先輩…」
「聞きたい事一杯あるけど黙ってるの。そうしないと惣倉君居なくなっちゃうでしょう、また」
「…虐められているのは語弊がありますけど、居なくなりませんよ。もしそうなってもちゃんと先輩に言ってからにします」
「やだそんなもし聞かないっ」
本当に困った様な顔をして、惣倉君はうーんと唸って「そもそも喜影が何で先輩の所に来るんですか」と話を戻した。
夢の中なのか現実なのか区別が付いていないので、誰にも言っていない事実がポロポロ出る。
「惣倉総出で妃帥ちゃん殺すって言うから怖くって」
「…」
「惣倉君はそんな事はしないって分かってるし、妃帥ちゃんが殺されるなんて現実味ないって思ったんけど、最近リタとも会ったし」
「リタ?」



