過つは彼の性、許すは我の心 弐

 

 お月様とお祖父ちゃんの声がする。

 2人は縁側に座っていて、私はお祖父ちゃんの膝に頭を乗っけて寝こけていた。


『この子は僕達の……を継いでいる』


 柔らかな口調のお月様の声に寝ながらおやっと思ったが、飛び起きる事も無く案の定スースー寝ていた。


『章乃は違かったが』

『子供だから話していない事があるんだろう』

『…』

『それでもまだ間に合う範囲だ。続く様なら薬を飲ませ続けて注意深く見守るしか無い』


 何の話だろう、でも何か覚えのある話な気もした。

 もっと聞いていたいのに…。

 
『起きなさい』


 薄らと目を開けるとお月様が私の顔を覗く。


『んー…まだ眠い』


 久々に見たお月様にぐへへと言いながらまた目を閉じようとしたら、


『起きなさい綴。今寝たらーーー死ぬよ』


 その言葉にパッと意識が現実に引き戻された。


「先輩!」


 聞いた事のない惣倉君の大声に完全覚醒する。

 ぐにゃあと視界が揺れているが、惣倉君の顔は視認出来る。不安に染まる顔。


「つ、つくら君」


 なんでここは、寮の私の部屋で。

 目がぐるぐるすると惣倉君に抱えられた様で、そのままベッドへと下ろされる。

 惣倉君が私の額に手を当てる。ひんやりして気持ち良い。


「高熱ですね、病院に行った方が…」

「だめやだ」

「先輩…」