そう言っているのに彼の手は太腿へと這う。夜を思い出して身体が震えた。
「ま、て喜影く、ん!」
止める間も無い、勢いに言葉尻が上がった。
一気に入り込まれた彼自身に息が止まりそうになる。
「は…待って、お願い」
潤んだ瞳で彼を見上げれば、何故だか埋められた熱の質量が増して、ひゅっと喉が鳴る。それを合図に始められた律動。
私の断続的な悲鳴とベッドが軋む音が重なる。
胸元に付けられる刺激に身体の熱が煽られ、何れ訪れてしまう感覚に怯えた。
ああ…またあの感覚が来る。
頭が真っ白になるあの感覚が未だに慣れず、喜影君にしがみつくと彼の濡れた唇から吐息が漏れた。
「くっ…」
グッと一際腰を押し付けられて、目の前が真っ白になる。
そして首元に彼の歯が食い込み、きゅうっと身体に力が入ると、熱が中で吐き出されるのを感じた。
「はあ…はあ…」
「はあ…」
熱くて気怠い。
お互いの荒い吐息と、彼の身体の重みを全身で感じる。
うざったい気もするし、このままでいたい気もする不思議な感覚にぼうっとしていればーーードンドンッ!とドアをノックされて、意識が突然クリアにされる。
「唐堂さん大丈夫?もうとっくに集合時間過ぎてるよ?」
「…っ」
時計を見ればもう1時間も経っていたのに今更気付いたが、声を出すにもお腹に響きそうになって口が止まる。



