過つは彼の性、許すは我の心 弐



 鉄将君が絶句していた。


「(シンカン…って)」


 シンカンってそんなに簡単に決めていいもの?

 ううんあんな掟にしきたりにって五月蝿い一族がそんな事を簡単に許さない筈で、見ず知らずの(私の知り合いだとは言え)女を獅帥君が助けるって事って、もしかしてミケに思われるから鉄将君が止めたのか。


『しかもあの男、』


 TVに出ていたあの人は円嘉の親でもあり、リタの親でもあるあの男。鉄将君の言い方的に土師保宇を決して良くは思ってなさそうだった。

 そして凌久君にとって最大の元凶。

 それを助ける為とは言え獅帥君の内側に引き込ませる。

 私はやっぱり獅帥君に危ない橋を渡らせた?

 恐ろしい事をさせ、


「綴。大丈夫だ」

「…っ」


…何でそんなに優しくしてくれるのか分からない、分からないよ。

 手を握る獅帥君の手は労りに満ちて、見下ろす眼差しは暖かさを持っていた。


「し獅帥君…」


 獅帥君は視線を鉄将君とチンピラに向ける。
 
 鋭く冷たい支配者の瞳。

 見ていた歩行者達ですら、息を呑んで獅帥君の一挙一動を見守っている。


「俺がいいと言った。だから」


 チンピラだって普通こんな事を年下の高校生に言われても納得しないし、激昂するだろう。

 でも何故だろうか。


「ーーーその女は置いて行け」


 獅帥君の言葉は何よりも従わせる力があった。