だったら代わりに何をすれば良いっていうの。
「綴が笑って俺の傍に居てくれるだけでいい」
「そんなの、」
代わりにもならない。
キュッと更に包まれて、私は獅帥君を見つめた。
「欲を言えば、それがずっと続けば良いと思っている」
「獅帥君…」
「傍に居てくれ」
こっちがお願いしている立場なのに、獅帥君の方が懇願する様に私に言う。
私は、すうっと息を吸って吐いた。
そして、
「お願いリタを助けて…!」
藁にも縋る様な思いで言葉を口にした。
「ーーー分かった」
でも私はその時に間違えたのだ。
何を間違えたのかは分からないけれど、確実に間違えたのだ。
ただその時の私は考える余裕は無く、リタが助かるかどうか、それだけだった。
「おい止まれ」
獅帥君の言葉が、人が密集する場所でも良く響く。
「あ?何だテメェは」
「幾らだ」
「アア?」
チンピラが厳しい顔で獅帥君を睨め付ける。
「見ての通り金は持っている」
男は獅帥君の制服を見て黙る。
私達の通う学園が都内有数のセレブ学園と言う事に気付いたらしい。
「幾らなんだ」
「獅帥!おいお前よく考えろ!お前が下手に女助けるなんて…しかもあの男の、」
「分かっている、だから」
獅帥君は言葉を切った。
「俺のシンカンにする」



