過つは彼の性、許すは我の心 弐



 女の胡乱気な瞳が、


「ーーーアンタ!」


 苛烈な怒りに変わった。

 瞳と表情が円嘉そのもの。

 叩き付けられる様な感情は、自分と他人を容赦無く巻き込んで炎上させる。

 
「唐堂綴!」

 
 名前を呼ばれても、ボーッと眺めていた。

 膝が血だらけになった少女が、私の元まで来て手を振り上げる。

 パシンっと。


「おい、アンタ!人のダチに何すん、」

「五月蝿い五月蝿い!コイツは!」


 鉄将君が振り上げる腕を掴んでくれているが、私は止める事も、逃げる事もせずに彼女を眺めた。


「ーーー私の姉を殺した!!」


 そうだ、あの子だ。


『紹介するわね綴』


 姉の後ろからコッソリと顔を出したあの子の妹。


「殺したって…何言ってんだ」

「離せ!」


『許さない』


 最後に言った円嘉の妹の、涙に濡れても尚の事此方を憎しみで殺そうとするあの子の顔。


「リタ!テメエ客から逃げやがったな!」


 数回だけ会った事のある彼女ーーー円嘉の妹、利大(りた)


「オイ!ガキの分際で人の商品に手を出すな!」

「はあ?アンタ何なんだいきなり現れて」


 鉄将君が突然現れたチンピラと揉み合いになっている。

 その時鉄将君の手がリタから離れて、もう一度私に振り下ろされた。


「何よ!邪魔しないで!」

「…よせ」

「はいお嬢はん離れよな」


 獅帥君が手を捕まえ、凌久君がリタの両肩を抱いて私から離す。