鉄将君がピタリと止まる、何だと思ったら前から「退いて!」と言う声が聞こえて、鉄将君がヒラリと避けた。え待って鉄将君避けたら私に、
「きゃあ!」
「ぎゃあ!」
当たるじゃん。
ドンとぶつかられ私が倒れそうになると、後ろから甘い匂いに包まれる。
「綴大丈夫か?」
「いてて…獅帥君ありがとう」
ぶつかられた私は獅帥君にキャッチされて事なきを得たが、前からぶつかって来た相手は地面に尻もちを突く事になった。
「おいアンタ大丈夫か?」
鉄将君がぶつかって来た女の子の肩に触れようとして、その子はパンと振り払う。
染めて薄くなった長い茶髪の中から、顔が出て来て固まった。
文字通り、固まったのだ。
彼女はーーー…。
「円嘉」
思わずポツリと呟いた。
死んだ私の幼馴染。
どうしてこんな、いやなんで彼女はだって、あの時に。
血飛沫を浴びて、床に倒れた彼女。
「…はあ?アンタ誰な訳?」
私の呼び掛けにぶつかって来た女は、視線だけで射殺さんと言わんばかりの瞳で私を見た。
ビクリと身体が揺れた。円嘉にしか見えない。
「あの格好凄」
「ホテル街から来たのかな」
「えーもしかして、」
所謂ベビードール服を着た女が往来でコケていれば、通行人達も食いつくだろうし、イケメン達が囲んでいればそれはそれは注目の的だった。



