過つは彼の性、許すは我の心 弐



 鉄将君がピタリと止まる、何だと思ったら前から「退いて!」と言う声が聞こえて、鉄将君がヒラリと避けた。え待って鉄将君避けたら私に、


「きゃあ!」

「ぎゃあ!」


 当たるじゃん。

 ドンとぶつかられ私が倒れそうになると、後ろから甘い匂いに包まれる。


「綴大丈夫か?」

「いてて…獅帥君ありがとう」


 ぶつかられた私は獅帥君にキャッチされて事なきを得たが、前からぶつかって来た相手は地面に尻もちを突く事になった。


「おいアンタ大丈夫か?」


 鉄将君がぶつかって来た女の子の肩に触れようとして、その子はパンと振り払う。

 染めて薄くなった長い茶髪の中から、顔が出て来て固まった。

 文字通り、固まったのだ。

 彼女はーーー…。


「円嘉」


 思わずポツリと呟いた。

 死んだ私の幼馴染。

 どうしてこんな、いやなんで彼女はだって、あの時に。

 血飛沫を浴びて、床に倒れた彼女。
 

「…はあ?アンタ誰な訳?」


 私の呼び掛けにぶつかって来た女は、視線だけで射殺さんと言わんばかりの瞳で私を見た。

 ビクリと身体が揺れた。円嘉にしか見えない。


「あの格好凄」

「ホテル街から来たのかな」

「えーもしかして、」


 所謂ベビードール服を着た女が往来でコケていれば、通行人達も食いつくだろうし、イケメン達が囲んでいればそれはそれは注目の的だった。