過つは彼の性、許すは我の心 弐



 ムッとした表情に対してするものじゃないのに、ニマニマ顔になってしまう。

 だって、


「ええ?獅帥君の地が出ているなって」


 中々見れない浮世離れした獅帥君の年相応の部分が見えると、何だか一々嬉しくなってしまうのだから仕方がない。


「…」

「ふはっ…!」


 より不快そう顔をされて、思わず吹き出してまう。


「…」

「ふふはははっ…!ごめんちょっと面白くてっ…!はははっ…」


 獅帥君の柳眉が八の字になり掛けている。駄目だ笑うな私。

 あまり笑い過ぎるとお怒りになって寝れなくなっちゃうから、この辺にしなくては。

 ごほんと咳払いして、息を整える。


「はあー…。真面目の話だけど、別に獅帥君のお家の思想?みたいのは否定しないけどさ、多少なり感情って表に出さないとやっぱり壊れちゃうよ」

「…」

「言ったじゃん。周囲に見せられないなら、私に見せてみてって」

「…」

「きっと妃帥ちゃんも、そう言う獅帥君見たいんじゃないかなって思うよ」

「…妃帥がか?」



 お、流石お兄ちゃん。

 妹の話に食いつきましたな。


 獅帥君は腕で少しばかり目を覆っているものの、隙間から覗く切れ長の瞳には私の話に対する興味が見えた。


「よく妃帥ちゃん言っているでしょう。普通ならこうする、ああするって」

「ああ…」