ムッとした表情に対してするものじゃないのに、ニマニマ顔になってしまう。
だって、
「ええ?獅帥君の地が出ているなって」
中々見れない浮世離れした獅帥君の年相応の部分が見えると、何だか一々嬉しくなってしまうのだから仕方がない。
「…」
「ふはっ…!」
より不快そう顔をされて、思わず吹き出してまう。
「…」
「ふふはははっ…!ごめんちょっと面白くてっ…!はははっ…」
獅帥君の柳眉が八の字になり掛けている。駄目だ笑うな私。
あまり笑い過ぎるとお怒りになって寝れなくなっちゃうから、この辺にしなくては。
ごほんと咳払いして、息を整える。
「はあー…。真面目の話だけど、別に獅帥君のお家の思想?みたいのは否定しないけどさ、多少なり感情って表に出さないとやっぱり壊れちゃうよ」
「…」
「言ったじゃん。周囲に見せられないなら、私に見せてみてって」
「…」
「きっと妃帥ちゃんも、そう言う獅帥君見たいんじゃないかなって思うよ」
「…妃帥がか?」
お、流石お兄ちゃん。
妹の話に食いつきましたな。
獅帥君は腕で少しばかり目を覆っているものの、隙間から覗く切れ長の瞳には私の話に対する興味が見えた。
「よく妃帥ちゃん言っているでしょう。普通ならこうする、ああするって」
「ああ…」



