過つは彼の性、許すは我の心 弐



 鉄将君止めてよ!と思いながら見れば、信じられない様な顔をして見るだけで止めやしない。


「わた、私がこま、困るっ」


 こうなったら直談判だ!と思ったのに、意外と節くれだった指先が私の指先の間に入り込まれて、握り合わされる。

 ヒエっと心の中で息を詰めていれば、獅帥君は握り合わせた私の手を自分の口元まで寄せたと思ったら、


「ーーーじゃあ俺だけ見てればいい」


 切れ長の瞳を悪戯げに歪ませて、フッと笑った。息掛かった。心臓がギュンと鳴った。


 この…!


「…分かった分かったよ!着ますよ着ます!獅帥君とおそろします!」


 だから離せや馬鹿者!と手をブンブンと振れば、それを見ていたドラフト出席者の1人が、


「美女と野獣…」


 とポツリと言った。


「美女と野獣?」

「私は天條君に野生味を感じた!これで行こう!」

「唐堂が喰われそうな感じだったからいいかもな」

「じゃあ2人とも服に要望ある場合は早めに言ってね」

「こんなどさくさで決定なの!?」


 もう作成組が淡々と話を進めているので、ブンブンと獅帥君の手を離そうとすれば、離れた位置にいた清維と目が合う。

 フイっと逸された視線に、熱くなった顔が冷めていくのを感じる。

 ソドム事件以降余所余所しくなった清維に、私自身もどう接すればいいのか分からなくなっていた。