過つは彼の性、許すは我の心 弐


「ほうら!乾かすから座りなさい!」

「…」


 鉄将君登場から飽和気味だったあの場所を、鉄将君に任せて去る事ができた。(任せる事もなかったんだけれど)

 主婦顔負けのカズミさんの手早いお風呂支度を目のあたりにしつつ、烏の行水で早々に風呂場から出て来た獅帥君を私がキャッチ。

 ラフな格好のホカホカ国宝級男子を、本人の自室に連れて行き、ソファーに強引に座らせて、ドライヤーオン。

 ブオオオォオ!!と言う音と共に、獅帥君の、妃帥ちゃんと良くに似た(キー!クヤシイ!)サラサラの黒壇色の髪を乾かし始める。


「どう気持ち良くない!?」


 ドライヤーに負けないぐらいの大声で言いながら、さり気なく寝ろ…寝るんだ!と言う思いを込めて手櫛で髪を梳く。

 一応されるがままの獅帥君に、ふふんと少しだけ得意気になる。

 次第に少しだけウトウトして来たのがカク、カク、とし始めたのでお?となって、ドライヤーを止めた。


「眠くなって来たでしょう?」

「…」


 無言だけれど、思った以上に気持ち良くなったのか、フラリと立ち上がって、ベッドへと身を投げた。


「ふふ…眠そう」


 ベッドへと身を沈める獅帥君を覗くと、少しだけ鬱陶しそうな顔をした。

 
「…何で」

「うん?」

「嬉しそうなんだ?」