過つは彼の性、許すは我の心 弐




「唐堂!」

「はい!」


 ビクンとなって立ち上がる私にクラス中の視線が集まる。


「買い出し行けそうか?」


 文化祭委員が大丈夫かと言う顔で此方を見ている。


「大丈夫です!自分に任せて下さい!」

「ノリがウザいなあ」

「まあ天條居てくれるからいいか…」


 ふうやばいやばい…。


 クラスメイトにうざがられながら着席する。

 駄目だ眠くて何にも聞いてなかった。

 昨日も彼が…喜影君が来たから。

 正確に言うと寮に来ていた。

 1人部屋と言う事もあって都合が良いのか、夜になると私の元に来て朝方まで彼と過ごす。

 彼の有り余る体力に付き合うと寝る時間が大幅に削られ、授業中もカクカクなって、教師に何回も注意され掛けた。

 けれどその度に、


「…綴平気か?」

「ごめんね獅帥君迷惑掛けちゃって」

「俺はいい」


 獅帥君が庇ってくれて(教師も獅帥君に庇わればそれ以上追求しなかった)本当に申し訳なくなった。


「はーい!じゃあ役割分担は以上だ気合いを入れて取りかかれよ!」

「うーす!」
 
「よっしゃあラストスパートだ」


 文化祭委員の言葉に和気藹々としながら、動き出すクラスメイト達。


「間に合いそうか?」

「間に合うと思うし、もう数種類作るから見ててよ」

「おおー凄いな服飾部」

「待機場所の椅子って生徒会に申請したか?」