過つは彼の性、許すは我の心 弐



 少しずつ律動を早められ、熱を強制的に高められていく身体。

 お互い好きとも言った事もない。

 いつも彼の方から始められるこの行為。

 一瞬花火が飛び散る様な快楽を得られるだけで、私としては虚しいだけで終わり、心の穴がどんどん広がって行く気がした。

 お祖母ちゃんが言っていた。

 女は感受性が豊かだから気持ちが伴わない行為は苦痛でしかなく、割り切らなければ心が死んで行くのだと。


『ああっ…!』

『っ…はあ』


 吐き出された熱と裏腹に心は冷たくなって行く。

 ここまで来るともう分かり切っていて、身体がまた反転して胡座をかく彼に跨る様な姿勢にさせられる。

 
『ふっあ…』


 自重で更に深く抉られ、喜影君が眉を顰めて私を揺さぶる。

 切り替えなきゃ。

 立派な骨格に見合った筋肉質な身体に四肢を絡める。

 肌と肌がくっつき、更に熱く感じ、彼が私を捕まえる力が更に強くなる。

 この時間が早々に終わる事を祈りながら、萎える事のない彼の衝動を逃す事に専念し続けた。

 思い出すだけでも疲れる。


「疲れた…」


 靴を脱ぎ、薬を飲み、携帯をベッドサイドのチェストに乗せてベットへと倒れた。

 獅帥君の返信が画面に表示されている。


「…」


 そう言えば、


『連絡する』

『…』


 彼は身支度を整えると機嫌良さそうに私の携帯をいじった。