少しずつ律動を早められ、熱を強制的に高められていく身体。
お互い好きとも言った事もない。
いつも彼の方から始められるこの行為。
一瞬花火が飛び散る様な快楽を得られるだけで、私としては虚しいだけで終わり、心の穴がどんどん広がって行く気がした。
お祖母ちゃんが言っていた。
女は感受性が豊かだから気持ちが伴わない行為は苦痛でしかなく、割り切らなければ心が死んで行くのだと。
『ああっ…!』
『っ…はあ』
吐き出された熱と裏腹に心は冷たくなって行く。
ここまで来るともう分かり切っていて、身体がまた反転して胡座をかく彼に跨る様な姿勢にさせられる。
『ふっあ…』
自重で更に深く抉られ、喜影君が眉を顰めて私を揺さぶる。
切り替えなきゃ。
立派な骨格に見合った筋肉質な身体に四肢を絡める。
肌と肌がくっつき、更に熱く感じ、彼が私を捕まえる力が更に強くなる。
この時間が早々に終わる事を祈りながら、萎える事のない彼の衝動を逃す事に専念し続けた。
思い出すだけでも疲れる。
「疲れた…」
靴を脱ぎ、薬を飲み、携帯をベッドサイドのチェストに乗せてベットへと倒れた。
獅帥君の返信が画面に表示されている。
「…」
そう言えば、
『連絡する』
『…』
彼は身支度を整えると機嫌良さそうに私の携帯をいじった。



