過つは彼の性、許すは我の心 弐



 私は胸に拳を置いて、鉄将君を真っ直ぐ見る。


「分かっているよ。今までも危ない目に遭ったし」

「じゃあ何で、」


 鉄将君の疑問も、もっともだ。

 友達が危ない目に遭うかもしれないと分かっているなら、全力で止めたいと思うだろう。

 けれど、


「傍に居たいって思っちゃったから」

「傍に居たいって…」


 すかさず言った私に、鉄将君は口籠る。

 どうして あの(・・)彼女の傍にいたいのか。

 一見恵まれている環境にいて、か弱くて、蝶よ花よと育てられ、皆んなにチヤホヤされないと気が済まないと 思われている(・・・・・・)女の子。

 それだけの女の子じゃないのを、今までの短い付き合いで私は知っている。でも…皆を納得させるだけの理由が今の私にはないから。


「まあ見守ってよ」

「唐堂…」


 複雑な表情の鉄将君は、今更決まった事を覆せないと聡ったのか「埜々にはお前から伝えてくれよ」と少し溜息を吐く。


「勿論」


 自信満々に答えると、鉄将君は「…やっぱり心配だわ」と呟いた。


「妃帥ちゃんのミケって胸張れる様に努力するからさ。期待してて」

「努力って何するんだよ」


 ややふてぐされ気味の鉄将君から、獅帥君に視線を合わせる。

 突然見られて一瞬ビクッとなる獅帥君に、私はニッと笑って。


「今は聞き分けのないお兄ちゃんをお風呂に入れることかな」