「どうしてか…」
耳元で囁かれてゾクゾクと身体が震えた。
恐怖か、それとも…。
吸った煙草の匂いが鼻にまで届き、彼と過ごす暴力と血と快楽の記憶が泡沫の様に溢れ出しそうになってーーー…掻き消す。
駄目だ…また可笑しくなる。
気合いを入れた瞬間、私の首元を引っ張られた。そのままグッと振り向かされる。
「喜影君…」
「…」
変わらない。
ツーブロックとオールバックを合わせた黒髪、薄い眉と切れ長の瞳、長身で厚みのある身体は何処か威圧的で猛禽類を思わせる… 中学の時とまるで一緒。
変わったと言えば、少し背がまた高くなって、欠片残っていた幼さが顔から取り払われたぐらいか。
…黙っていてもしょうがない。
「どう、したいの」
「…」
喜影君は喋らない、
「あの、」
「天條と関わっているのか」
と思っていればコレだ。
そう言えば惣倉君が天條とは仲が良く無いとか何とか…。
「…そうだったら?」
私の言葉に目が少しだけ見開かせる。
「関わるな」
直球だ。
「…何処まで知っているのか知らないけど、私ミケって奴で離れるなんて今更出来ないよ」
「あの不良品が、」
「やめてその言い方」
私の反論に眉を顰められたが、そこだけはどうしても否定したかった。
見下ろす双眸に怖いけれどジッと下から睨み上げて対抗する。
「…」
「…」



