過つは彼の性、許すは我の心 弐



 もし真実だったらどうするの?

 妃帥ちゃんの垣間見せる狂気は何処から産まれたの?


「…あ、」


 本落ちそう。

 さっき無理矢理引っ張り出した本(演劇部が所望していた本だった)の隣が軽く落ちそうになっていた。

 ソファーから降りて、本棚の前に立つ。


「よいしょっと」


 背伸びしてどりゃあ!と入れ込む。うーん埃っぽい。

 ウゲエと手に付いた埃を見ていたから、


「手洗わなきゃ」


 気付かなかった。

 人がこの部屋に入って来たなんて。

 彼が音も無く傍に寄れる事を忘れていて。

 こみかみが痛み始めて違和感に気付いた私は間抜けだった。

 悪い事が起きる前兆。姉小路先輩の一件以降悪い事が起きても反応しなかった(ポンコツセンサー)から油断した。


「へっ…」


 フワリと首辺りを押さえられて、私の顔が埃っぽい本棚に押し付けられた。

 一言。


「綴」

「…っ!き、」


 えい、君。

 音になったかも怪しいその言葉は虚しく空中に消えた。

 どうして何でが頭を錯綜する。

 それでも頭の隅で天ヶ衣さんがウチの生徒だと言っていた事を思い出してもしていた。

 今まで会わなかったのは喜影君は学校に通うなんて言う人じゃ無かったから会う事も、その存在が学園にある事を知らずにいれた。じゃあ何で今日は来て、まるで私がここに居るのかまで知っていたのか。

 頭痛が広がりつつある頭で「どうしたの、こんな所で」と言った。