過つは彼の性、許すは我の心 弐



 それにしても、どの家でも人の命が軽くて嫌になる。

 人が死ぬのを分かっているのに、そこまでして続けないといけないの?と言う思いもあるが、あの渚君がどうにもならないと言うのなら、きっと今は本当にどうにもならないんだ。

 今の状況は歯痒くて仕方ないけれど、下手に動けば家族や夏波ちゃんへの影響が出る事を考えると大きくも出れない。

 機会を待っているって事だろう。

 それに渚君のお家で行われるその行と言うモノは、定期的に行われるモノじゃないらしいし…。


「私が考えた所で意味はないんだけどね…」


 渚君には夏波ちゃんが居るんだし、私が考えないといけないのは妃帥がちゃん達の事だ。

 渚君の話だとその火達磨になった女性には、選択肢を与えられていたみたいだった。(この際殺人幇助は置いておく)

 選ぼうと思えば選べたのに、その女性は何で火達磨を選んだ?

 しないと命を失うかもしれなかった?

 それだと火達磨になれば亡くなる可能性は高いのは分かるし、普通ならそれ以外の死に方を考えると思うけれど…。


「…ああもう分かんない」


 グデンと背凭れに身体を預けて、天井を見る。

 埃に塗れた電灯と視界の端にギッシリと詰めて入れられた本棚が目に入った。


「信じたいだけかもな…」


 妃帥ちゃんが意味も無く、人の死を願う様な人じゃ無いと思いたいのかもしれない。