「一族から離れたミサさんはーーー次第に元気失うてな。原因は分かれへんが食事も摂られへんようになって活欲も無うなって病気がちになる…役目を放棄した者に現れる症状らしいが、親父が見つけた時は手の施し様がなかった。俺らが会うたのも亡くなる数日前やらやった」
亡くなる数日前ってそれじゃあ、
「死んでる」
「っ…そんな」
両手で口を押さえる。
「ミサさん俺らに謝ってた」
「…」
「丁度ミサさんが駆け落ちして、色々立て続けに重なってな。本来起きる筈のなかった行が行われる事になった。そやさかい、俺らへの風当たりは凄まじかった…。ガリガリに細なった叔母さんがかんにんなって謝り続けるし、俺も夏波もかなんなあ」
思い出す様に虚空に視線を這わせる渚君。
「親父は滅多に感情出す奴ちゃうけど、ミサさんに対しては…見てられへんかった。そんな親父とミサさんの姿見とったから、親父に啖呵切ったらしいミサさんの男に腹立ってしゃあなかった。親父かてこうなる事は分かってはいた。せやけど妹が望んだ幸せやさかい、災いが起きへん事を祈って送り出してん。せやのに、」
渚君は「せやのに…!」と語気が荒くなるが、それ以上は言葉は続かず、握って震えた拳は自然と力が抜けていた。
はあー…と息を吐き出して、私を真剣な眼差しで見られてドキッとした。
「…俺は夏波が幸せに生きられる様に力の限り手え尽くす」



