過つは彼の性、許すは我の心 弐


 埜々ちゃんは自己主張が控えめな正に深窓のお嬢様って感じで、夏波ちゃんや清維と言ったリーダーシップを取るタイプのアクティブお嬢様と真逆のタイプの子だ。

 初めて会った時に「どうやったら深窓のお嬢様になれるの?」って聞いたぐらいだし。

 ただ自然と埜々ちゃんの意見は重宝されるし、埜々ちゃんの意見が知らない間に優先されている…そう何か押し通す強さがあるんだよね、こう言うと妃帥ちゃんに近い気がする。


「埜々は情が深くて義理難い女だからな」

「そう言う所も好きだと」

「いつもは大人しいのにそう言う時に覚悟決めるのも埜々らしくって…て、俺の質問に答えてないだろ」
 

 惚気ている人にツッコまれちゃった。


「ーーー綴はミケになった」


 埒が明かないと思ったのか、獅帥君が私の代わりに答えてくれた。


「…お前のか?」


 数秒時間が止まったが、直ぐに持ち直した鉄将君は獅帥君に問い掛ける。


「違う、妃帥のだ」

「妃帥の?冗談だろう」

「…」

「俺も急に夏合宿引き上げろって言われて、呼び戻されたと思ったら、そんな急に…」


 パッと周囲を見る鉄将君は清維に「事実よ」と更に目を見開いて、信じ切られていない様な…私が言わなきゃ駄目か。


「鉄将君」

「唐堂、お前…」

「一応ミケやらせて貰っています」

「分かっているのか?」


 オオミカのミケになる事を。

 そう暗に伝えて来た。