過つは彼の性、許すは我の心 弐

 

 やり切れない様な、今でも許せていない様な、そんな風に言葉を口から吐き出す。


「子が死ぬ事になっても、行は続けられる」

「死ぬ、って」


 言葉が理解出来ない。

 死ぬって。


「天條もあちこちに顔が効くのと一緒で海祇にもあってな。俺がその行を科されてる間も、友達が次々と亡くなった。終わった後は半分くらい減っとったな」

「…っ」



 喜怒哀楽を表に出しやすい渚君が、感情1つ出さずに話す事が、その話が何よりも真実だと物語っていた。

 何かを言う前に、


「“そんなの何で続ける”って思たやろう」


 私の心の中を言い当てる渚君。

 
「俺もそう思たし、昔同じ事を考えて撤廃する動きもあった。せやけど不思議な事に、悪い事が次々と起きた」

「それってそう思い込んでいるだけじゃ、」

「…そうでものうってな。海祇の一族の出…他家に嫁いだり、養子に出されたりした者にまで降りかかる様に悪い事ばっかり続いた。そうすると疑心暗鬼になって内部で骨肉の争いが起きて、収拾が付けへんくなった。そやさかい行を再開した。ほなら元通り」

「…」

「海祇の長い歴史の中で行を撤廃する動きはなんべんもあったんやて。せやけどそのたんびに悪い事は起きて、そこからもう反対する者も出のうった。今に至るまでその行は続いてる」