「夏波は優しいからなあ。自分ら如きにでも慈悲かけたみたいだけど、俺に初めから来てくれとったら、こんな往来歩かれへん様にしたったのに…」
「ひっ」
「っ」
勝気な女も、自分の男が相手にもならない事、そして自分が何を相手にしているのかを漸く理解したらしい。
そうだお前らが敵意を向けるのも、怯えるのも。
「視界に入るぐらいは許したるけど、俺らにまた噛み付くってなったら直々に手ぇ下したるーーー2度は言えへん、行かんかい」
ーーー俺にだけだ。
「っす、すみません、でした!」
バッと腕を払うと2人組は転びながらも逃げて行く。
弱い癖に威張り散らしやがって。
舌を打ちたくなるのを堪えて、溜息を吐きながら隣の彼女を見下ろす。
「はあー…」
「渚君巻き込むんじゃってごめんね」
「…」
唐堂綴は心から申し訳ないと思っている様で、ペコペコと何故だか謝ってくる。
…何で。
「何であんな煽ったんだ?」
「え?」
「態とだろう、アレ」
「あー…」
ペコペコしていた頭を上げて、ポリポリと頭を掻く。
唐堂綴の言い分は、
「だって夏波ちゃん今が1番楽しいでしょう?」
「はあ?」
理解出来ない様なモノに見えて、
「今まで閉鎖的だった視界が、色んな人と関わる事でどんどん広がっていて…きっと楽しい頃だと思うんだ。だから水刺されたくないなって思って」



