過つは彼の性、許すは我の心 弐



「夏波は優しいからなあ。自分ら如きにでも慈悲かけたみたいだけど、俺に初めから来てくれとったら、こんな往来歩かれへん様にしたったのに…」

「ひっ」

「っ」


 勝気な女も、自分の男が相手にもならない事、そして自分が何を相手にしているのかを漸く理解したらしい。


 そうだお前らが敵意を向けるのも、怯えるのも。


「視界に入るぐらいは許したるけど、俺らにまた噛み付くってなったら直々に手ぇ下したるーーー2度は言えへん、行かんかい」


ーーー俺にだけだ。


「っす、すみません、でした!」


 バッと腕を払うと2人組は転びながらも逃げて行く。

 弱い癖に威張り散らしやがって。

 舌を打ちたくなるのを堪えて、溜息を吐きながら隣の彼女を見下ろす。


「はあー…」

「渚君巻き込むんじゃってごめんね」


「…」


 唐堂綴は心から申し訳ないと思っている様で、ペコペコと何故だか謝ってくる。

…何で。


「何であんな煽ったんだ?」

「え?」

「態とだろう、アレ」

「あー…」


 ペコペコしていた頭を上げて、ポリポリと頭を掻く。

 唐堂綴の言い分は、


「だって夏波ちゃん今が1番楽しいでしょう?」

「はあ?」


 理解出来ない様なモノに見えて、


「今まで閉鎖的だった視界が、色んな人と関わる事でどんどん広がっていて…きっと楽しい頃だと思うんだ。だから水刺されたくないなって思って」