いやいや待てよ夏波、お前何で回し蹴りなんてしているんだ。
聞けば聞くほど状況が理解出来ない。
「…っ何でそれを」
「人の口に戸は立てられないからね。君がボクシング部で、そこで培った技術を振った女を傷つけたいが為に使ったって聞いたから、うっかり喋っちゃったよ、ボクシング部の顧問に」
「お前のせいだったのか!?」
「その感じだと無事に退部になったんだねおめでとう」
ヒューと下手な口笛で2人を煽る。
これは意図的に怒らせている、確実に。
「どんだけ夏波ちゃんを舐めていたのか知らないけれど、頭も容姿も人格も勝てないってなったら身内を批判するって…そう言う所が最高にダサい。ねえ恥ずかしくないの?」
しかも更に燃料を投下だ。
「…黙れ!!」
「ちょっと!」
隣の女が止めるのも聞かずに唐堂綴の胸倉を掴んで拳を振り上げた。
阿呆が…。
「なっ」
「…渚君?」
パチクリと目を瞬かせる唐堂綴を隣に、取り敢えず今俺が腕を掴んでいる男を見た。
「俺に用があるなら聞いたるが?」
「別にねえよ!離せ!」
男が腕を振う事が出来ない様に力を込めると、ビクッと身体を揺らす。
更に冷めた目で男を見れば、漸く自分が誰を相手にしているのか分かった様で、怯えた目で俺を見てくる。



