過つは彼の性、許すは我の心 弐

 

ーーー何も知らなかったあの頃。

 掟もしがらみも知らずに暮らしていたあの頃は、心から笑っていた。

 全てを知った後は、俺と夏波を本当の子の様に育ててくれた人と、生涯の友と呼べる相手の前だけだとそう思っていたのに。


「兄さんは元々人当たりが良い方だよ。勝手に兄さんがそう思い込んでいただけ」


 移動教室で唐堂綴をガン無視したその日の帰り。

 友人と帰る様になった夏波と久々に一緒に帰る事になった車内でその話をしたら、ケラケラと笑いながらそう言われた。


「…」


「ふふ、やっぱり綴ちゃんにお願いして正解だったね」


 日に日に夏波は笑う事が増えた。

 認めざる得なかった。

 だからこそ、次の日は憂鬱だった。


「(はあ…謝らななあ)」


 あんなに話し掛けてくれていたのに、嫌な態度を取ってしまった。
 
 しかも今日に限って唐堂綴は別の友人と話をしている。


「生徒会だっけ綴」

「うんそうなの〜人居なくって大変でさあ」

「ねー大変そう」

「そこは手伝ってくれないの?」

「さあて帰って彼ピとデートデート」

「無視かい」


 生徒会役員なのか…。

 そう言えば他のクラスメイトから今期の生徒会はフレアに天條がいて、集まりが悪いと言われていた事を思い出した。

…取り敢えず放課後だ、放課後話し掛けよう。

 モヤモヤとした思いを抱えながら迎えた放課後。