「私の言う事が信じられない?」
そう言う夏波の顔は何よりも強く真剣で、言葉を飲み込まざる得なかった。
夏波がそこまで言うなら…。
納得は出来なかったが,夏波が危ない奴を俺に近付けるとは思えないし、何より夏波の言う事を信用していないなんて言いたくない。
「大丈夫、綴ちゃん面白い子だから。兄さんも絶対に好きになるよ」
夏波が他人に向ける笑顔は久しく見ていなかった。
その点は唐堂綴に感謝しよう。
隣にニコニコ笑う夏波を横に、不安と少しだけの期待を胸に抱きながらこれからの事を考えた。
「渚君って関西出身じゃないんだ」
「まあな」
「似合い過ぎてるから生まれも関西かと思った」
「なんやそれ…そこ違う」
「あ、本当だ。ありがとう」
唐堂綴がノートを書き進めるのを横目に、自分の課題も進めて行く。
今は自習の時間なので唐堂綴と俺は、机をくっつけて世間話をしながら他の授業で出された課題をやっていた。
ーーー思った以上に唐堂綴との学園生活は悪いものじゃなかった。
そう思えたのは、唐堂綴が俺と話す様になってから、
「なあ海祇、俺にもここ教えてくんない?」
「ああええけど」
「じゃあ私も!」
こうやって周囲のクラスメイトもおっかなビックリと話し掛けて来る様になったから。



