過つは彼の性、許すは我の心 弐



「正気だもーん」


 周囲にいた他のクラスメイトが、コソコソ会話しているのが聞こえる。


「だったらよせって」

「綴の悪い癖」

「そうそう直し様がない私の悪い癖だから黙って見守ってて下さーい」


 《《悪い癖?》》


「おい!そこ授業中だ!」

「すみませんでしたー!」


 唐堂綴の謝罪に、話していたクラスメイトは今度こそ静かになった。

 気紛れか、何か目的があってか。

 《《悪い癖》》。

 取り敢えず夏波に聞かなければ。

 夏波が騙されている可能性もあるし、勝手に女が妄想で夏波を友人だと言っている可能性もある。

 けれど、


「え?綴ちゃんだよ、友達」
 

 そんな風に考えていた俺の考えは当の夏波によって打ち砕かれた。

 帰りの車の中で唐堂綴に言われた事を問い正して、呆れてしまった。


「…あんなあ夏波、急に距離詰めて来るなんて可笑しいやろ。なんか目的があ、」 

「そうだ兄さん。いつもこうやって2人で帰っているじゃない?」

「話を聞いて…ああそうやけど」

「明日から友達と帰っていい?て言うか、兄さん綴ちゃんと帰りなよ」

「は?」

「明日からそう言う事で」


 夏波は運転手にそう伝えると「分かりました」と諌めるでもなく了承した。


「分かった、ちゃう!」


 もっと疑問を持てよ!と言い掛けて「兄さん」とピシャリと言う夏波の声に遮られた。