「金が無うて困って苦学生するアンタを尻目にアンタの親父は何しとった。アンタがフレアの野郎どもにおもちゃにされとった時アンタの親父は何しとった?」
「…」
「大嘘つきの腰抜け野郎が…反吐が出る」
「渚君!」
これ以上は何も言いたくないと言わんばかりに立ち上がって、2人の横を通り過ぎて生徒会室を出て行ってしまった渚君。
「洋直!?」
洋直ちゃんはその場でストンと腰を下ろしてしまい、火渡君がその肩を支える。
「…海祇こえー」
「何なの今の」
「…」
私も追っ掛けるべきか、洋直ちゃんのフォローに回るべきか。
どっちかと迷っていれば、
「兄さんー綴ちゃーん居る?」
「夏波ちゃん…」
スレンダー美少女こと夏波ちゃんが、タイミング良く生徒会室に現れてくれた。
「あれ?何かムード暗く無い?どうしたのって…岸谷さん大丈夫?」
「海祇さん…」
洋直ちゃんの傍にしゃがみ込んだ夏波ちゃん。
お互いの名前を呼ぶぐらいだから一応顔見知りだったらしい。
洋直ちゃんは、
「…本当なの?」
「え?」
「海祇さんのお父さんの妹が私のお母さんって本当なの?」
切実に、縋る様に、夏波ちゃんにそう訴えた。
「…父さんの妹が岸谷さんのお母さん?それってミサさんって事?」
「知ってるの!?」
大きな目を何度も瞬きさせながらも、頭の回転の早い夏波ちゃんは「なるほどね。胸騒ぎはこれか」と呟いた。



