そもそも、
「連絡するつもりなかったから」
「本当か!?」
鉄将君は一瞬喜んだ後に、じゃあ何でこんな事したんだと胡乱気な目になる。
私は、
「うん。私が言わなくても埜々ちゃんなら、女の子を玩具扱いする様な事をした鉄将君ぐらいなら如何にか出来ると思うし」
ちょっとした含みを入れた笑いを添えたら、引き攣った顔になる鉄将君。うははビビっている。
「清維よりお嬢様らしいお嬢様がね…」
「失礼ね」
清維の憤慨を横に火渡君がボソッとそんな事を言う。
「火渡君は会った事あるの?」
「片手で数える程度でな。鉄将が会わせたがらないから」
チラリと火渡君が鉄将君を見れば「当たり前だろう」と腕を組んでいた。
「鉄将が、お前らのお遊びに埜々を付き合わせたら、お前らに何するか分からないって言ってたし…僕までそう見られるの心外なんだけど」
「お前の八つ当たりの道具にされたら叶わないからな」
嫌味を含んだ鉄将君の物言いに、火ノ宮君の顔色がサッと赤くなる。
「鉄将そう言うなって」
「お前もだ楽。嫌なら俺みたいに徹底的に関わらないか、止めるならハッキリ止めてやれよ」
「うっ…痛い所を」
火ノ宮君の八つ当たりは周知の事実だったのかとも思いつつ、案外鉄将君周りを見ているんだなとも思った。



