「つづちゃん…急にギア上げるから俺追いて行かれへん…」
パッと片腕で顔を覆ってしまう。
それにニマニマしながら、
「何何恥ずかしがってんの〜?冗談じゃなくて本心だから〜」
コイツ〜とやれば、少しだけ目尻を赤くした渚君に「余計タチ悪い!」と即座に言い返された。
ふっふっふっふー…と小学生男子が同級生の女の子を揶揄う様に、顔を渚君に近づけたらーーーグイッと後ろに引かれる。
「うあっ」
危ないと思ったらお腹に誰かの腕が回って、甘くて良い匂いに包まれる。
「おい獅帥!危ないやろ!」
「近づき過ぎだ」
「ああ?」
渚君が獅帥君の行いを咎める。
ビックリした…。
ニヤニヤしている時に急に背後に引かれたと思ったら次の瞬間には、私の身体が椅子に座りながら獅帥君の身体に凭れる様な姿になっていた。
驚きの2連続、数秒の出来事…えともう例え思いつかない。
兎にも角にも首だけ獅帥君に向けると、いつもの憮然とした表情ではあったが、何処か不満さを漂わせていた。
もしかして、
「渚君に変な事しようとしている様に見えた?大丈夫だって、本当に嫌がっていたら流石に空気読んで引いたって」
獅帥君はあんまりこう言う気安い関係を作った事なさそうだから驚いたのかなと予想してみたが、更にムッとした顔になっていた。な、何で。



