過つは彼の性、許すは我の心 弐


 貴様。

 私は獅帥君の手を離し、ポケットに入った携帯を取り出して、操作し始める。


「…どうしたんだ唐堂急に携帯使い始め、」

「埜々ちゃんにはもっといい男いるよって連絡してる」

「待て」


 超反射神経の持ち主である鉄将君の行動を読んで、獅帥君の後ろにささっと隠れる。


「唐堂よせ!」

「うるさい!下半身生物が!埜々ちゃんまでここにいるケダモノ達に捧げて、弱った所を食らうんでしょう!?自分は真面目で好青年ですって顔をして…最低!」


 天ヶ衣さんと変わらないわ!


「ケダモノなの俺ら?」

「何?木野島君達が洋直ちゃんにしていた事は別に容認してないけど?」


 私のあからさまな低い声にビクリと身体を揺らす木野島君。

 そんな驚かれるのかね?

 普通にやっている事はクズだと思っているし、軽蔑もしている。ただ私にどうにか出来る権力も根性も無いから(後洋直ちゃんも獅帥君しか見えてなくって全てを受け入れている節もあったから)表立って批判しないだけ。


「そんな事より、埜々ちゃんに連絡連絡」

「待ってくれ!本当に俺は埜々以外となんて出来ないし、してないから!」

「神に誓える?」

「誓う!」


 ひょこっと獅帥君の背中から顔を出せば、必死に懇願している姿に、嘘はなさそう。


…許してやるか。(謎の上から目線)