家族団欒を終えた私はナオに連絡したけれど、本当に忘れ物だったらしく『後でちゃんと取りに来いよ』で終わった。
怒っている感じでもなく、忘れ物であるハンカチを取りに行った時も変わった感じじゃなかった。
「うーん…」
「唐堂君」
「ん?どうしたの今清水君」
両手を机の上に重ねて下を俯く今清水君。
震えている。
緊張しているのか。
「あの、僕は凄い困っているんだが」
「…何で?」
今清水君を震えさせる原因とは一体?
ゴクリと唾を飲み込む。
「いや君はここを集会場にしたいのかな」
「そんなつもりないけど、どうしたの?」
集会場?何の事を言っているんだ。
私の言葉に今清水君は、睨めつける様に此方を見て来たが、私の隣を見てハッと視線を逸らす。
「…いや前にもこう言う事あったし、その前もあったよ」
「こう言う事?何かあったけ獅帥君」
「さあ」
「僕トイレに行って来ます!」
「あ、今清水君」
「アイツ苦労してんねんな…」
渚君は生徒会室から飛び出て行った今清水君を憐れむ様な目で見ていた。
結局今清水君は何を騒いでいたのか分からなかった。
「どうしたの渚君」
「つづちゃんには文句あれへん。俺が文句あんのは」
チラリと私の隣を見る。
そして、
「何でお前ここにおんねんな!」
「…俺は綴の手伝いをしに来た。お前に会いに来たわけではない」



