何だろう?と思っていれば、
『直房君、来てなかったか?』
思ってもみない事を言われた。
『ナオ?』
『ほらお前が彼と話している時。蕎麦も準備できたし、少し外の空気を吸おうかと玄関から外に出たんだけれど、』
『うん』
『人の気配がして門の外まで見に行ったら、2階を見上げていた直房君がいてね。声を掛け様としたら此方に気付いて、直ぐに走って行ってしまったんだ』
私は『そうなんだ…』と言いながら、この間遊びに行った時に忘れ物でもしたかなと単純に考えていた。
『…顔が強張っている感じだったから綴と喧嘩でもしたのかと』
『ええ?』
『ほらあそこ、丁度綴の部屋の窓見えるだろう』
お祖父ちゃんが指差す所は、円嘉の住んでいたお屋敷の跡地側(反対側はナオの元実家跡地)の方で、確かに下から見れば私の部屋の窓が見える。
前は壁があったけれど更地となった後は、綴ー野球行こうぜーみたいな事が出来たから、友人内ではそっから声を掛けて来る人も居た。
『…喧嘩はしてないけど、アレかな獅帥君が傍に居たから遠慮したのかも』
確かに窓辺で獅帥君と話していたし、そう考えたら悪い事をしたかも。
『後で電話してみる』
『…そうだね、そうしてみると良い』



