過つは彼の性、許すは我の心 弐



「…」


 お祖父ちゃんは何も答えない。

 私が「八重さんから聞いたとかじゃないの?」と言う質問に獅帥君は首を振った。


「天條の内部の、特にオオミカの事については伏せられている事が多い。詳し過ぎる」

「…」


 そうなの?とお祖父ちゃんを見れば「…まあ知っているよ、だって」と言葉を続ける。


「僕は八重の遠い親戚だからね」


 と、また新たな事実を提示した。


「は、初耳」

「言ってなかったからね」

「…」

「親戚の中でも取り分け仲が良かったし、実の兄の様に慕ってくれていたからね、僕が口が硬い事も分かっていたから話してくれたんだよ」

「私達に話しちゃって大丈夫?」

「君らオオミカにミケだ。関係者だから話しても大丈夫だろ」


 そりゃあそうだけれど…。


 獅帥君はあんまり納得した様な感じではなかったが、


「ゴホッ…ゴホッ…!」

「お祖父ちゃん!」


 お祖父ちゃんが咳をたて始めた事により、話どころではなくなった。

 病院から帰って来たばっかの忘れていた。


「そろそろもう寝よう」

「ゴホッ…そうだね寝ようか」


 私の言葉に頷くお祖父ちゃんと、いつの間にか獅帥君が傍に着ていて「肩貸しますか?」とお祖父ちゃんに声を掛けてくれていた。


「…お願いしようかな」


 コクンと頷いた獅帥君は、お祖父ちゃんを支えながら歩いて行く。

 その日は皆早々に就寝した。