「…」
お祖父ちゃんは何も答えない。
私が「八重さんから聞いたとかじゃないの?」と言う質問に獅帥君は首を振った。
「天條の内部の、特にオオミカの事については伏せられている事が多い。詳し過ぎる」
「…」
そうなの?とお祖父ちゃんを見れば「…まあ知っているよ、だって」と言葉を続ける。
「僕は八重の遠い親戚だからね」
と、また新たな事実を提示した。
「は、初耳」
「言ってなかったからね」
「…」
「親戚の中でも取り分け仲が良かったし、実の兄の様に慕ってくれていたからね、僕が口が硬い事も分かっていたから話してくれたんだよ」
「私達に話しちゃって大丈夫?」
「君らオオミカにミケだ。関係者だから話しても大丈夫だろ」
そりゃあそうだけれど…。
獅帥君はあんまり納得した様な感じではなかったが、
「ゴホッ…ゴホッ…!」
「お祖父ちゃん!」
お祖父ちゃんが咳をたて始めた事により、話どころではなくなった。
病院から帰って来たばっかの忘れていた。
「そろそろもう寝よう」
「ゴホッ…そうだね寝ようか」
私の言葉に頷くお祖父ちゃんと、いつの間にか獅帥君が傍に着ていて「肩貸しますか?」とお祖父ちゃんに声を掛けてくれていた。
「…お願いしようかな」
コクンと頷いた獅帥君は、お祖父ちゃんを支えながら歩いて行く。
その日は皆早々に就寝した。



