過つは彼の性、許すは我の心 弐

 

 よく見るとダーグレーの着流しを着ていて胸元が見えているのが、これまた目のやり場に困って視線があっちこっちに行ってしまって絶対変だ私。


「もう元気出た、から」


 視線を逸らすと、獅帥君のムッとした気配がした。

 グイッと顔を戻されると、妃帥ちゃんに似た顔。


「あ、」

「どうした?」

「獅帥君の目って、結構薄いんだね」


 こんな間近で見る事があまりなかったから気付かなかった。獅帥君の目って薄茶色だと思ったけれど、もっと薄く…そう茶色って言うより緑?


「母方の、祖母が外人って聞いた事がある」

「へえそうなんだ」

「…」


 マジマジと獅帥君の目を見ていれば、逆にフイッと逸らされて抱き込まれる。

 さっきまで恥ずかしがっていたのが馬鹿らしい。

 人を見るのは良いけれど、人に見られるのは嫌なのか。


「ふふっ…ホカホカする…」

「風呂入ったばっかりだからな」

「そう言えば何で上まで上がって来たの?」

「…出て来たら綴が居なくって」

「もしかしてお祖父ちゃんと2人っきりで居るの気不味かった?」

「ふふっ…!」

「…」


「2人とも」


 パッと明かりが点くと、お祖父ちゃんが入り口にもたれ掛かっていた。


「ぎゃ!」

「っ」


 普通に驚く私と獅帥君に呆れた様なお祖父ちゃん。


「綴もお風呂に入りなさい」

「は、はい!」