ある日、屋敷まで走って向かっていた私は、屋敷の前に止まっていた高級車から人が降りて来た事に気が付かず、恰幅の良い男とぶつかった。
『いたた…』
『なんだコレは』
ゴミを見る様な目で私を見られて、ビクリと身体を揺らす。
その人はお祖父ちゃんより少し上ぐらいの年齢に見えたが、服装や身なりがお金持ちと子供でも分かるぐらいの物を身に付けていた。
ゴツゴツした金の指輪に宝石、CMで出る様な腕時計、高級感のある布地で作られたスーツ、ブランド物であるのが前提の磨き上げられた靴。
下から上まで財力を注ぎ込んだ大人の目の冷たさに、とても怖くなった。
『申し訳ありません!ほらさっさとあっちに行け!』
汗を何度もハンカチで拭う秘書っぽい人に、無理矢理立たされて別の場所に行け!と追い立てれていると。
『綴!』
『円嘉!』
屋敷から走って来る円嘉が、大きな門越しから見える。
『来てくれたの?』
男の為に開けていた門から飛び出す様に出て来た円嘉は、本当に嬉しそうに笑っていた。
『うん…』
『どうしたの?』
そこで漸く円嘉は、近くに居た男に気付いて見上げる。
円嘉は険しい目付きで睨み、
『円嘉?』
『行こう綴』
グイッと引っ張って私とその場を離れようとした。



