過つは彼の性、許すは我の心 弐



 台所へと向かうとお祖父ちゃんがまたまた既にご飯作りを始めていた。


「お祖父ちゃんご飯まで!」

「綴は荷物自分の部屋に置いて来なさい」

「はーい!ありがとうお祖父ちゃん」


 お祖父ちゃんの背中しか見えないけれど、先程の天條家に対する怒りはもう感じなかった。ホッ。

 2階へと登って自分の部屋へと入ると電話を掛ける。


「ーーーー…了解ありがとう。一晩しっかり預かります。はーい」


 鉄将君との電話を切る。


「流石妃帥ちゃん…」


 どうやら獅帥君は妃帥ちゃんにはちゃんと私に会いに行くと伝えていて、居なくなった後に妃帥ちゃんが周囲に説明してくれたので、それ程大きな事にはなっていないらしい。ああ妃帥ちゃん大好き。

 自分が誘拐犯になっていない事に安心し、ベッドにポイっと携帯を投げながら視界に窓の外が入って動きが止まる。


「…」


 以前は平凡な我が家の隣に、大きなお屋敷みたいなお家があった。

 今はもう空き地になっていて売りに出されているから、跡形も無い。

 大きな土地は未だに買い手が付かないらしい。

 それもそうか。

 此処に住んでいた人達の1人が人に危害を加えて、自殺したから。


「…」


 窓辺に近付いて、小さな頃を思い出す。

 1人でいる円嘉と居る様になってから、一度だけお屋敷の方まで迎えに行った事がある。