過つは彼の性、許すは我の心 弐

 

「そこまでして他人に認められないとは…」

「五月蝿い!!」


 ユウナが獅帥君に手を振り上げたので「獅帥君!」と思わず声を上げたが、獅帥君は逆に殴り掛かろうとしたユウナの手首を握った。


「っ…五月蝿い!五月蝿い離せ!」

 
 握られた手を振り払おうとするが、獅帥君の手はビクともしなかった。

 そして、一言。


「哀れだな」


 もし円嘉と獅帥君が本当に似ていて、ユウナがそう思っているなら、この一言は円嘉の言葉にも等しい。

 心臓を握りつぶされる。

 そんな衝撃だ。

 あんなに騒いでいたユウナの声も聞こえなくなった。


「お前が言うその女と似ている俺からすれば、お前は、」

「いや…聞きたくない…」


 声が出たかと思えば、懇願の様な小さな呻き。

 私まで胸が、心が、掻き乱される。


「心の底からどうでもいい。視界に入れば不快だと感じるし、いなくなれば記憶に残らない、その程度の存在だ」

「獅帥君!」


 ギュっと彼の背中のシャツを掴む。

 獅帥君はパッとユウナの手を離して「どうした綴」といつもの彼に戻ってくれたが。
 

「ユウナ!」

「大丈夫!?」


 視界の先にいる座り込んで項垂れるユウナは、友人達が心配そうに肩を揺すったり、声を掛けたりするが返事はない。

 これはいけない。


「し、すい君。あのさ、」

「ああ」

「…」