過つは彼の性、許すは我の心 弐



 私も立ち上がり室内の出入り口まで向かうとしたら、その入り口から人が出て来た。

 店員だ。


「あのー…すみません唐堂綴様と言う方はいらっしゃいますか?」

「…私ですが?」


 店員がしきりに私の角度から見えない店員の横側をチラチラと伺っているのが気になるけれど、一応名乗っておいた。

 て言うか、またユウナ出鼻くじかれたじゃん。

 止められた感じになったユウナは更に睨み付けて来るが、いやいや私のせいじゃないでしょう!

 
「此方の方です!」


 しかも店員声デカいし、妙に上擦っているのなんだ?と思っていたら。


「綴」 


 聞き覚えのある低く耳心地の良い声。


「え、獅帥君」


 スーツ姿(ジャケットは脱いでいた)から恐らく何かしらのパーティーの帰りっぽいけれど、あんまりにも獅帥君の存在がこのカラオケボックスに似合わな過ぎてポカーンとしてしまう。

 獅帥君が私に近付く靴音だけが響く。


「綴?」

「いやあのどうしてこんな所に」

「…綴が言ったんだろう?」


 何か言ったっけ私。

 首を傾げる私に、目の前で止まった獅帥君はやや不満そうにしている。マジで分からんぞ。


「えと…」

「会いたいって言っただろう」

「…あ、昨日の?」


 コクンと頷く獅帥君。

 あら可愛いじゃなくって。


「ええ!?もしかしてあれから寝ずに来たの!?」

「…新幹線で少し寝た」

「危な!あれ護衛の人は!?」

「巻いた」

「巻いたの!?」