過つは彼の性、許すは我の心 弐



『…』

「獅帥君?」


 何故だか黙りこむ獅帥君。

 
『…すいだけか?』

「うん?」

『妃帥だけか?』

「…ああ」


 口を尖らせる獅帥君の姿を思い浮かべて、ふふっと笑ってしまった。

 あの妃帥ちゃん以外に興味無かった男がこんな事を言うなんて…。

 成長を感じてちょっとだけジーンとしながら、


「勿論!獅帥君とも会いたいよ!」


 元気良くそう言った。

 事実だしね。
 
 渚君達とは海に行った時に会っているし、獅帥君とは天條邸でのお泊まり以降は会っていなかった。(こう言う携帯でのやり取りのみ)

 だから友達皆んなに会いたい!と言うニュアンスで私は伝えたつもりだった。


『俺も、』

「うん?」

『ーーー俺も会いたい』


 急にガツンと、切ない気持ちを含む声に言葉を失った。

 胸が鼓動する。

 実感した。

 
 い、イケメンのシンプルな言葉って凄い…!


「ううん…」

『?大丈夫か』

「いいやうん大丈夫本当にマジで大丈夫」

『…大丈夫なんだな』

「うんうん会いたいよ私も今すぐ最高に会いたい!」


 ああどんどん大丈夫じゃない言い方している。

 獅帥君をイケメンって思い出してしまって、恋する乙女な気持ちになっている。落ち着け自分。獅帥君は雛鳥、漸く家族以外の誰かと気安い関係を作ろうとしているんだ。


 私は特別じゃない私は特別じゃない私は特別じゃない。(念仏。今日から家に帰って100回唱えよう)