獅帥君が私と手を離し、それに私は行っておいで、と背中を押した。
獅帥君はベッドヘッドに手を付いて、妃帥ちゃんに顔を近付ける。
そのまま自分の額に妃帥ちゃんの額を付けると、妃帥ちゃんも反応する様に額を擦り付けた。
安心した様に2人が微笑む。
良かった本当に…良かった。
口元を押さえて、声が出ない様にする。
この世でこの光景以上に美しいモノはないんじゃないかと、本気でそう思った。
2人の時間を邪魔しちゃいけないと思って泣くのをグッと堪える。
すると、
「綴」
「え?」
獅帥君がこっちに来いと手招く。
何だ?と鼻水を啜りながら、2人に近づく。
「妃帥ちゃん」
「綴…」
私も出来るだけ妃帥ちゃんに近付いて「どうしたの?」と聞いた。
妃帥ちゃんは、
「ありがとう…連れて来てくれた」
弱々しくも目を細めて笑った。
「…!いいんだよ私は、」
自分で勝手に約束して勝手に動いた訳だから、お礼を言われる様な、
「えと…だから、うんと…」
「…」
自分でも何言えば良いのか分からずに、しどろもどろになる。
妃帥ちゃんは私のそんな姿に、何時もの馬鹿ね綴って言う表情をして、
「おかえりなさい綴、獅帥」
そう言った。
「…っうん!ただいま妃帥ちゃん」
そっかと思い出す。
『妃帥ちゃん!約束する、獅帥君と一緒にここに戻って来るから待ってて!』
ーーーかくして、私は妃帥ちゃんとの約束を守る事が出来たのだ。



