過つは彼の性、許すは我の心 弐



 獅帥君が私と手を離し、それに私は行っておいで、と背中を押した。

 獅帥君はベッドヘッドに手を付いて、妃帥ちゃんに顔を近付ける。

 そのまま自分の額に妃帥ちゃんの額を付けると、妃帥ちゃんも反応する様に額を擦り付けた。

 安心した様に2人が微笑む。

 良かった本当に…良かった。

 口元を押さえて、声が出ない様にする。

 この世でこの光景以上に美しいモノはないんじゃないかと、本気でそう思った。

 2人の時間を邪魔しちゃいけないと思って泣くのをグッと堪える。

 すると、


「綴」

「え?」


 獅帥君がこっちに来いと手招く。

 何だ?と鼻水を啜りながら、2人に近づく。

 
「妃帥ちゃん」

「綴…」
 

 私も出来るだけ妃帥ちゃんに近付いて「どうしたの?」と聞いた。

 妃帥ちゃんは、


「ありがとう…連れて来てくれた」


 弱々しくも目を細めて笑った。


「…!いいんだよ私は、」


 自分で勝手に約束して勝手に動いた訳だから、お礼を言われる様な、


「えと…だから、うんと…」

「…」


 自分でも何言えば良いのか分からずに、しどろもどろになる。

 妃帥ちゃんは私のそんな姿に、何時もの馬鹿ね綴って言う表情をして、


「おかえりなさい綴、獅帥」


 そう言った。


「…っうん!ただいま妃帥ちゃん」


 そっかと思い出す。


『妃帥ちゃん!約束する、獅帥君と一緒にここに戻って来るから待ってて!』


ーーーかくして、私は妃帥ちゃんとの約束を守る事が出来たのだ。