過つは彼の性、許すは我の心 弐




「すみません、天條妃帥さんは…」

「天條さん?ああ少し待ってて下さいね」


 入り口にいた看護師に声を掛けると、会う事は可能との事でそのまま着いて行く。

 いよいよだ。

 ドクドクと心臓が暴れる。

 病院を立つ前にいた部屋の入り口に、カズミさんと圭三郎さんが揃っていた。

 2人は私達を見て目を丸くする。


「お二人とも無事で何よりです」

「お待ちしていました」


 口々に2人が労ってくれるが、それよりもと聞いてしまう。


「ひ…妃帥ちゃんは」


 握る手が震えている気がした。


「一時危ぶまれましたが、少し前から状態が安定してきまして…」

 
 どうぞと言われて、2人で病室に入る。


「妃帥ちゃん…」


 出る前に比べたら穏やかに眠る妃帥ちゃんがそこに居た。

 2人で眠る妃帥ちゃんのベッドサイドに近付く。


「妃帥ちゃん…」


 血色もさっきより全然良い。

 状態が落ち着いたって事は、今まで妃帥ちゃんも戦っていたって事だよね。

 ならタイミング悪かったかも。

 一回出直すべきか迷っていると、獅帥君が少しだけ屈む。

 そして、


「ーーー妃帥」


 大切にそっと呟いた。

 すると、


「妃帥ちゃん…!」


 長い睫毛が震えて、美しく聡明な薄茶色の瞳が瞼から覗く。

 私達を見て、決して大きな声ではないのに。


「し、」

「ああ」


 声が聞こえる。


「獅帥」

「ああ」


 こんな短い2人の言葉のやり取りだけで、胸が一杯になる。