ーーーーその後。
無事に私達と渚君は合流し、駐車場へと戻ったら凌久君が車外で疲れた様な顔をしていたり、私の格好に渚君と凌久君がキャーキャー言っていたり、渚君が私と獅帥君が手を繋いでいる事に怒っていたりと色々な過程を経て、今。
「行こう、獅帥君」
「…」
凌久君から連絡が来てなかったと聞いているので、妃帥ちゃんが急変したとかはない、筈。
病院の裏手に着けてくれたカールさんにお礼を言って降りた私は、病院を一度見上げて獅帥君を促す。
再度手をギュっと握り締めると、強く握り返される。
獅帥君と私は見つめ合い、頷き合って薄暗い病院内に入った。
「(静か…)」
当然か、朝方だもんね。
早起きのおじいちゃんおばあちゃんでも起きてないだろう時間に、私達は自身の靴音だけを響かせて、妃帥ちゃんのいる場所へ向かう。
皆んなも疲労感か眠気からか静かに私達の後ろを着いて来てくれている。
一歩一歩私達は妃帥ちゃんに近付く。
そして、
「綴ちゃん」
「埜々ちゃんただいま」
ICUの前の椅子で座っていた埜々ちゃんが立ち上がって、私達の傍に来てくれる。
「怪我は?」
私の身体を険しい顔付きで、念入りに検分している。
心配かけちゃったな。
「埜々ちゃんは、鉄将君と今の所結婚出来そうだよ」
「まあ」
「おい!」
私の冗談に埜々ちゃんは目を丸くして、漸くホッとした顔で笑う。



