過つは彼の性、許すは我の心 弐



「責任、何のこ、」


 漸く気づいたのか言葉がやや吃る。

 この場を支配する男の威圧感に言葉まで震えていた。

 
「お前がここで俺達を足止めして、俺の妹に何かあったら責任を取ってもらう。どんな形でも」

「し、しかし!」


 ある意味ここまで食い付くのも凄い胆力だが、


「…そこまで俺の言う事を聞かないなら、」


 獅帥君は言葉を止めて、


「…昔から不思議な事に、」

「何の話を」


 黙って話を聞けと、男を視線で黙らせる。


「俺が少しでも不快だと周囲に話すと、次の日にはソイツとその周りにいた人間も消えた」


 男に世間話をする軽さで、このまま通さなければどうなるのかを伝える。

 そして、


「お前にその覚悟があるなら邪魔をすればいい」


 男に選択を問う。

 男は暫くの沈黙の後に、


「ーーーお通り下さい」


 歯向かう気力を無くし、神の為の道を開けた。