自分の身体から獅帥君の顔を離す。
不安定に揺れる瞳。
私も不安。
でも、
「行こう獅帥君、一緒に」
「ああ…」
1人じゃないから。
「あのー…先輩。申し訳ないですが…」
「お前らこんな時に」
へ?と後ろを見れば、マスクを脱いだ惣倉君と鉄将君が入り口付近に立っていた。
微妙に鉄将君は気まずそうに目を伏せていて、そうだ私とんでもない格好をしていたと思い出す。
「獅帥君今更ごめん!」
慌てて離れようとして、グッと引き寄せられる。
獅帥君のご尊顔が近付き、ウヒャアと後ろに下がろうとするが更に引き寄せられる。
「し、獅帥君!?」
こんな所でこんな事している場合じゃないでしょう!と言い掛けると、私の胸元で「不安な気がする…」と頼り気なに呟く。
…背を向けていた事に立ち向かうのは、簡単な事じゃないよね。
よし。
「…分かった。じゃあこうしよう」
「…?」
引き寄せる手を私の手と絡める。
「妃帥ちゃんの所まで手を繋ごう」
「…」
コクリと頷いた獅帥君は、手を握りながらベットから降りる。
そして、私の指の間に自身の指を挟む様にして握り…所謂恋人繋ぎをした。
うん…。
「どうした綴?」
「いや…」
もう何も言うまい…獅帥君の精神の安定になるならば、私の羞恥なんて塵芥よ。(前もこんな事あった様な)
「…コイツやっていいですか?」
「おいよせ!さっきので懲りたろ!」



