過つは彼の性、許すは我の心 弐



「テメエらも笑ってんじゃネェ!!」

「だって、烈貴方…ふふっ…!」


 立ちあがろうとする火渡君の肩をグッと押さえている木野島君達まで笑っているが、いやね君らにも言いたい事がある。


「て言うか、木野島君達も他人事じゃないでしょう」

「え」


 木野島君から間抜けな声が出る。


「やれやれ俺らは付き合わされているぜって顔をしているけど、皆んなだって自分の問題から見ぬ振りしているのに、獅帥君や火渡君のこと言えないじゃん」


 何なら火渡の方が口出す分マシだと思ってしまう。

 私の挑発に、

 
「僕らの何が見て見ぬ振りしているんだって?」


 食い付くのは2人目の狂犬火ノ宮君。これも予想通り。

 
「…じゃあ言うけど、火ノ宮君も清維が思い通りにならないのにイラつかないで欲しいし、清維も獅帥君が妃帥ちゃんに構う事にイラつかないでよ。ギスギスしている人と一緒にいるの苦痛」

「は」

「な」


 幼馴染ズは反応まで似て来るのか。

…清維の気持ちはきっと大バレしている(私でも分かるレベルだから)から、まあ私が言っても問題ないでしょう。

 そして、


「木野島君」

「は、はい!」


 妙にビクついているのが気になるけれど、


「木野島君は状況見えてて、1人1人心配出来る余裕があるんだったら、もっと踏み込むべきじゃない?」

「…」