過つは彼の性、許すは我の心 弐



 咳払いして、


「このスタンガンね。電圧弄っているみたいで、失神するぐらいにはしているみたいなんだけど、運がわるいと心臓止まっちゃうかもしんないんだって」


 笑顔を保持しながら恐ろしい事を言うと、女達の表情が引き攣る。


「でね、見た通りの威力なんだけど、男の人にも効果覿面でね。さっき馬鹿そうなオレンジの髪の男にもやったら直ぐにぶっ倒れちゃって」

「え!」


 動揺が女達の間に走る、もう少し。


「ここで倒れている女みたいに白目剥いて大丈夫かなって思ったんだけど、その後頭打っちゃったし…」

 
 嘘。

 倒れた時に頭打たない様にはしたけれど、女達を怯えさせるのが目的だからこのままでいい。


「でも私の邪魔するのが悪いよねえ」


 1人の女に視線を合わせながら、片手でバチバチとスタンガンを鳴らす。

 私に声を掛けられた女は、他の女の陰に隠れようと必死になるが振り払われている。可哀想。


「こう言う所って監視カメラとかあるんでしょう?従業員に怪我させられているのに、助け来るの遅いよね、どうしてだと思う?」

「へ、いや知らな、い」


 振り払われた女はつっかえつっかえで私に答える。

 出来るだけ頭の可笑しい奴に見える様に、口角をニヤリと上げた。


「私以上に頭の可笑しい仲間が来ているから暫くは来ないの」

「え」