人と言う枠に無理矢理嵌め込まれ、神としての役割を求められる哀れな獅帥。
血の繋がった家族はお互いに興味もない、双子に不幸が訪れても何も変わらなかった。
あの女が消えれば、その不安定性に気付いているのは俺のみ。
そう、だから絶好の機会。
憂いは排除しなきゃ。
「ハハッ…さてそろそろ捕まったかなあ」
一頻り笑って携帯を取り出す。
セキュリティの総責任者に連絡を掛ける。
邪魔者達の排除が叶ったかどうか。
携帯を耳元に当てて暫く掛けてみるが、
「んー…掛からないなあ。手こずっている?」
応答が無い。
あのシンカン共なら、武凱ぐらいしか脅威じゃないと思ったんだけれど、不測の事態でも起きているのか?
掛け続けながら、少し予想外だなあと思った。
シンカン共は此処に手を出すリスクと、あわよくば目の上のたんこぶである妃帥が居なくなれば…と思っているから来る訳ないと思っていたんだが…。
皮肉にも本当の意味で獅帥を守れているのは妃帥だけなのに…。
「ふ、ふハハ…」
また笑いが込み上げそうになった瞬間、プツンと彼方が漸く応じた音が聞こえた。
「あーもしもしそっちど、」
「助けてくれ!!誰か、誰か!グアアアアアァアアアア!!?」
ブツンとそのまま音が切れた。
「何だ…今の」



