一瞬の暗闇に場が響めくが、直ぐに復旧する。
明かりがつくとロココ調のベッドの上にいた薄いベビードールを纏う女共が、突然のアクシデントに周囲を見渡す。
「やだ怖い…」
「何かあったの?」
女共が震えながら、俺ともう1人に絡みつく。
「大丈夫大丈夫〜きっとどっかの誰かが楽しみたいから消したんだよお」
「えー本当?」
俺にしなだれかかる女の1人が冗談に笑い始めると「それだったらやだあ」「ふふっ…」と、他の女共の雰囲気が明るくなった。
…あー単純で可愛い。
しなだれかかる女の1人とキスを交わしながら、一応は確認ぐらいしておくかと冷静に判断する。
折角、
「な、獅帥。俺ちょっと外出てくるから、女の子達の事を任せていい?」
獅帥が面白くなりそうなのに邪魔されてはつまらない。
腕で目元を覆っていた切れ長の瞳が、俺を見つめる。
そして、
「…分かった」
2人の女神に求められた末に殺されたーーーアドニスは承諾した。
着崩した服から見える白い肌には、赤い鬱血痕があちこちに咲いていて、本当にアネモネの様に美しい。
「行っちゃうの?」
「獅帥が相手してくれるってえ」
「…じゃあ我慢する」
嘘つけ、ずっと獅帥に相手にして欲しかった癖に。
でも俺はそんな事は言わない。
男の俺でも興奮するんだから、女共が発情するのも無理ない。



