過つは彼の性、許すは我の心 弐

 

 一瞬の暗闇に場が響めくが、直ぐに復旧する。

 明かりがつくとロココ調のベッドの上にいた薄いベビードールを纏う女共が、突然のアクシデントに周囲を見渡す。


「やだ怖い…」

「何かあったの?」


 女共が震えながら、俺ともう1人に絡みつく。


「大丈夫大丈夫〜きっとどっかの誰かが楽しみたいから消したんだよお」

「えー本当?」


 俺にしなだれかかる女の1人が冗談に笑い始めると「それだったらやだあ」「ふふっ…」と、他の女共の雰囲気が明るくなった。


…あー単純で可愛い。


 しなだれかかる女の1人とキスを交わしながら、一応は確認ぐらいしておくかと冷静に判断する。

 折角、


「な、獅帥。俺ちょっと外出てくるから、女の子達の事を任せていい?」


 獅帥が面白くなりそうなのに邪魔されてはつまらない。

 腕で目元を覆っていた切れ長の瞳が、俺を見つめる。

 そして、


「…分かった」


 2人の女神に求められた末に殺されたーーーアドニスは承諾した。

 着崩した服から見える白い肌には、赤い鬱血痕があちこちに咲いていて、本当にアネモネの様に美しい。


「行っちゃうの?」

「獅帥が相手してくれるってえ」

「…じゃあ我慢する」


 嘘つけ、ずっと獅帥に相手にして欲しかった癖に。

 でも俺はそんな事は言わない。

 男の俺でも興奮するんだから、女共が発情するのも無理ない。